組織サーベイとは?|目的に沿った組織サーベイの選び方について解説

組織サーベイとは
組織サーベイとは、組織状態を数値化して測定するためのツールであり、組織課題を解決するためや、企業が目指す組織状態に対しての現在地を把握するために行う調査です。
一般的に組織サーベイは全従業員に向けたアンケート調査の形式をとり、調査結果をもとに組織課題を分析し、改善に向けたアクションを実施した上で初めて効果につながります。このため、組織サーベイをより効果的なものにするためには、目的に沿った形式を選択する必要があります。
本記事では、組織サーベイの種類や目的別の選び方について解説します。
組織サーベイの目的
組織サーベイは、組織状態や従業員満足度を把握するために多くの企業で実施されてきましたが、近年では離職防止や戦略人事の観点から様々な組織サーベイが実施されています。
ここでは組織サーベイの代表的な目的である、「ストレスチェック」、「エンゲージメントサーベイ」について紹介します。
ストレスチェック
ストレスチェックは、安全衛生法に基づくストレスに関する検査であり、ストレスに関する分析を組織単位で行うサーベイです。50人以上の労働者を抱える事業場で年1回の実施が2015年より義務付けられました。従業員の健康管理や、組織の健康管理体制を見直すことを目的とするものです。
厚生労働省:ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等
エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイは、企業や組織に対しての従業員のエンゲージメントを測定する組織サーベイです。組織や上司のマネジメントの状態を把握し、生産性を高めるための分析をすることが目的であり、課題の見える化や効果測定を行うことができます。また、サーベイ結果から見えた組織課題を適切に改善することができれば、従業員の退職防止にもつながります。
このように組織サーベイは、従業員の健康状態の把握から、組織の生産性向上や課題解決まで目的は多岐にわたります。
組織サーベイのメリット
組織の状態を数値化できる
組織サーベイは組織状態を数値化することができます。通常、従業員のモチベーションやエンゲージメントは見えるものではなく、楽しそうに仕事をしている社員が実は転職を検討しているという場合もあります。このように日常では見えない部分を、組織サーベイで数値化することによって可視化できるのが組織サーベイのメリットです。
また、組織状態を数値化することにより、実施した施策の効果を客観的に判断することができます。施策実施前の数値と実施後の数値を比較して、効果があったかどうかを判断できます。また、施策を進行している最中でも、数値上で効果が表れていなければすぐに施策を止めることが可能です。
従業員のモチベーションを高めるために工夫をしている企業は多くありますが、本当に効果があるのかを分析している企業は一握りです。組織の状態を数値化できれば、結果を客観的に評価できるため、より企業にとって効果的な施策を実施できるのです。
離職防止の対応ができる
組織サーベイを実施すると、社員の状態をある程度把握することができます。そのため、社員が離職を考えているかどうかを察知することが可能です。もし、離職を考えている社員がいるのであれば、離職防止の対応を行いましょう。
社員が退職届を提出する時点ではその決断を覆すことは難しいですが、迷っている段階であれば阻止できる可能性は大いにあります。離職の可能性を組織サーベイによっていち早く察知し、対策を実施することで離職防止につなげられるのです。
また、なぜ離職を考えているのかを知り、それを改善することで他の社員の離職を防止できるのもメリットです。社員が企業に対して何を不満に思っているか、どういったところを改善してほしいのかを明らかにするだけでも、組織サーベイを利用するメリットはあります。
これらが組織サーベイのメリットですが、デメリットとして考慮しなくてはならない点もあります。
組織サーベイのデメリット
社員に回答工数の負担をかける
社員は定常業務の合間に組織サーベイを回答することになります。そのため、日々の業務に遅れが生じる可能性があります。
遅れを取り戻すためには時間外労働が必要かもしれません。結果として、社員の負担が大きくなり、組織サーベイの実施そのものが社員にとってのストレスになる場合もあります。
これを軽減するためには実施の時期や頻度を考慮し、忙しくなりやすい月末や年度末は避けるなど、ある程度余裕を持ったスケジュールで実施する工夫が必要です。
企業に対して過度な期待を持たせる可能性がある
人は自身の意思を伝えたからには、それが反映されるものだと期待する傾向があります。「組織サーベイの回答を求められたが、何に使われるかわからない」、「組織サーベイで課題を伝えたが、改善されていない」などの不満につながってしまうことがよくあります。
組織サーベイを実施する場合は回答を収集するだけではなく、課題分析と改善施策が必要になります。課題によってはすぐに改善施策に移せないものや、即効性のないものである場合もあります。その際は、組織サーベイの結果をもとに組織としてはどう動いていきたいと考えているかや途中経過など、従業員への説明義務を果たすことで不満を軽減することができます。
組織サーベイの選び方
自社の課題に合った頻度で選ぶ
組織サーベイには簡易的な量を頻度高く実施する「パルスサーベイ」と、年に1〜2回の頻度で実施する「センサスサーベイ」という形式があります。
組織サーベイを通して取得したいサイクルと回答の質を考慮し、どちらの形式が適切か判断する必要があります。
設問のカスタマイズ性
企業によって確認したい調査項目が異なります。イチから考えることは大変なので多くのツールがテンプレートを備えていますが、カスタマイズ性は様々です。
組織サーベイを実施する目的に沿って、取得したい情報を得られるような設問を設定できるカスタマイズ性が高いツールを選択しましょう。
分析機能
組織サーベイツールでは分析機能が付属している場合がほとんどです。ツール内のダッシュボードや、データ加工のしやすさも選定において重要なポイントとなります。また、組織のセグメントや、閲覧権限の範囲など、どの組織の何を分析したいかにより、分析機能の範囲を考慮する必要があります。
データ活用の支援の有無
分析機能を利用して課題を可視化したものの、「どんな改善施策を実施すればいいかわからない」「人手不足により施策実行まで手が回らない」といった場合もあります。このような点に自信がない場合は、課題を見つけたら終わりではなく、その後の組織改善に向けたアクションまで実行を支援してくれる組織サーベイが適しています。
まとめ:自社の目的に合った組織サーベイを選択し、組織改善につなげる
組織サーベイは、実施頻度や設問の内容、その後の活用法など、様々な形式があります。目的に沿った組織サーベイを選択することで、経営の最適化につながる施策を実行するための判断材料を取得することができます。
組織の課題を正しく把握し、改善に向けた効果的なアクションを起こすのは容易ではありません。そこで役に立つのが組織サーベイです。組織サーベイによる定点観測、データをもとにした客観的な分析、そして有効な改善策の提案といった、組織改善に有効な施策を実現できます。
組織の目指す方向を実現するために、目的に沿った組織サーベイの導入・運用を検討してみてください。